ゲイが市井で暮らすのに、嘘はいくつ必要ですか？ もうすぐ。

二股かけたことも、かけられたこともあるけど、どっちもいい思い出がない。
至極当たり前の話だけれど。
かなりひどいことをしたし、かなりひどいこともされた。
何もクリスマスを前にこんな話題でなくてもいいよなｗ
俺は相変わらず性格が悪い。

優柔不断さがそういう状況を招くんだと世間ではよく言われてるし、
そこに異論はないのだけれど、もう少し人として根源的な要求なんだろうなと思う。
浮気性な人って欲張りに多い気がする。個人的な傾向として。
あっちも欲しいけど、こっちも欲しい。
何かを選ぶってことは、他の全てを諦めることだって思うんだけど、
そこに決着できない男が二股を「ついつい」選ぶ。
Ａ君との新鮮な恋愛も楽しみたいし、
Ｂ君と慣れ親しんだ落ち着ける感じも捨てたくない。
そんな感じ。
恋愛のおいしいところだけをつまみ食いする。

俺の場合、仕事の忙しい人と付き合っていたときに、
一緒に遊びにいける彼氏が欲しくてついついと浮気をしてしまった。
昔の話だ。
ただ、本命の人と遊びの人と自分の中で明確に線引きをしていて、
その浮気相手の人には今から思うとかなりひどい扱いをしていた。
「僕は遊びの関係でいいから」というA君の言葉に甘えて、あぐらをかいていた。
会う約束をしていても、本命の人から電話があればデートの途中でも
平気でキャンセルしたりしていた。
ひどい話だ。
彼には彼の感情があっただろうし、遊びでいいなんて本気の言葉のわけがない。
そういうところに気が回っていなかった。
あるいは気づいていても知らない振りをしていたのだ。

Ａ君と会っているときにはＡ君に愛の言葉を語り、
B君にはB君にやっぱりお前がいなきゃ駄目だとさらりと語る。
別にドラマや小説のジゴロを気取ってるわけでもなく、
ある種の人間には普通にできてしまうものなのだろう。

だが、A君と会っているときに二股男の心の中にB君はどういう状況でいたんだろう？
その間B君は存在しないものとして忘れているのか？
それとも心の中にとどめながらでも、A君にも愛を語るのだろうか？
その逆はどうたったんだろう？
自分の感情だったのに思い出せない。

今になって思うのだが生き方として、人との付き合い方として二股は卑怯だと思うのだ。
コミットメントするならとことんコミットメントするのが恋人への流儀だ。
そんな片手間で付き合って本当にA君の良さを見てあげられたのだろうか？
A君の気持ちを考えてあげられたのだろうか？
俺がB君と過ごしている夜はA君にどれほどの苦しみをあたえたのだろうか？
それを平然と告げる俺の残酷さはA君にどれほどの傷を与えたのか？

惚れてしまったら仕方がないという生き方もあるし、正しくないとは思えない。
いや、むしろ恋愛としては正論だ。
惚れあった二人が世界の中心で大いにいいと思う。
ならばどちらかの彼をきちんと捨てるということをするべきだと思うのだ。
無論現在続いている関係を切るのは、それ相応の痛みが伴う。
でも、それはある種の代償だ。
どちらも捨てられないというのは愚かな男の甘えた感情だ。
その甘えはきっと回りを傷つけていく。
人にコミットメントするということには、多少の血が流されることもあるのだ。
それが嫌なら最初から惚れたはれたの世界に足を踏み入れるべきじゃない。

今頃だけど、俺はそう思うのだ。
あの時、ずるずると二人と付き合い続けた自分が大嫌いだ。