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その日は、雪が降っていたから

夜勤明けで、2件ほど周旋屋を回ってきた。
文句を言わなければ、敷金礼金なしで
手ごろな家賃で、そこそこの広さの部屋を
見つけることができた。
これなら今月中にも引越しできそうな感触だ。
明日は実際に部屋を見せてもらって、決めたいと思う。

偶然なのだが、その周旋屋で働いていたのが以前の職場で
一緒に働いたことがある男だった。
彼は2年ほどですぐに辞めたのだが、互いに顔を見てすぐに
思い出した。
なんだか知り合いに会うと、バツが悪い。
いや、客なんだから堂々としてればいいんだよ某くん。
いや、でもこいつに今の現状のあらかたを知られちゃうのってヤじゃない、某くん?

「で、アンケートなんですが、今回お引越しの理由などを
お聞かせ願えますか?」

そんなこと聞かれると思ってなかったので、どぎまぎしてしまった。
「実は同居中の男に、別の男ができましてね。
俺に出て行けなんて言うんですよ」
とは言えないもんなぁ。
咄嗟に上手い嘘も思いつけず「ごにょごにょ」と不明慮な言葉を
繰り返して黙り込んだ。
きっと冴えない頭の鈍い中年のままなんだと思われただろう。
実際冴えない頭の鈍い中年のままなんだから仕方がないのだけど。

*******************************************************
偶然の出会いといえば、前回の続き。

しょんべんの絆で深く結ばれていたであろうおじさん(ユリネさん)
のフルネームを俺は知らなかった。
ユリネという苗字しか知らなかった。
どっかの会社の部長さんだった。
でも、どこの会社で、何の仕事をして、どこに住んでいるのかなんて
まったく知らなかった。
俺も特に知りたいと思っていなかった。
ユリネさんのことは好きだけど、愛してはいなかったからだ。

涙の別れとは決して言えない、それはそれはサバサバとした
ユリネさんとの別れ。
俺の部屋で、俺から別れを切り出すと、
ユリネさんは黙り込んだ後「そうか」と言って帰っていった。
特に恨み言も涙もなかった。
別れ話も何も互いに付き合ってるという認識はなかった。
セックスフレンドに限りなく近いと思っていた。

数年後、ユリネさんと意外なところで遭遇することになった。
世間は狭い。
もしかしたら俺を中心に世界が回っているんじゃなかろうかと
勘違いする程度に狭い。
いや、きっと勘違いなのではなく、世界は俺を中心に回っているのだろう。
ただ俺の思い通りの回転は決してしないだけなのだ。

数ヶ月前の記事に書いたことで実は伏せていたことがある。
前職で管理者研修を外部講師に依頼して受けていたのだが、
実はその講師がユリネさんだったのだ。
研修会場で見かけたとき、似てるなぁとは思っていたのだが、
自己紹介を聞いて名前が一緒だったので本人だと確信したのだ。
俺が研修が楽しかったっていった本当の意味がわかったことだろう。
年取って、いい具合に熟れていて、本当に旨そうなおじさんになっていた。
今ならスカトロジーの台頭も受け入れることができるやもしれぬと
思うほど。
そうでしたか、ビジネスコンサルタントの部長さんでしたか。
互いに気づかぬ振りをした。
もしかしたら気づいたのは俺だけかなとも思ったけれど、
彼のほうも気づいていたことがすぐにわかった。

昼食の時、ユリネさんと同席になった。
残念ながら俺の上司も、彼の部下も同席だった。
他愛無い世間話や、講義についての話に当たり前のように終始した。
そりゃそうだ。当たり前だ。
でも、心の中で「ユリネさん、俺覚えてますよ」と呼び続けてた。
時折ユリネさんと目が合う。
微笑んでいる。なつかしい笑顔。
食事も終わり席を立ち、講義の会場へと歩くとき、ユリネさんが
俺の隣に並んでケツをポンっと軽くたたいてきた。

「久しぶりじゃないですか。すぐに某君だってわかったよ。
俺のこと覚えてる?」
「はい、覚えてます。ユリネ先生。奇遇ですね」
「世の中狭い。今は引越しして○○にいるんだ」
「そうなんですか。」
「いい人できたか?」
「まぁ、ぼちぼち」
「そうか。君はもてるからな」
「もてないですってw」
「それにしても腹が出てすっかり中年だねw」
「もう39ですもん」
「そうか、そんなになるのか。なつかしいなぁ」
「ユリネさんもいい人いるんですか?」
「俺はもう君で卒業した。時折サウナ行くぐらい」
「そうですか。」
「明日8時の新幹線で○○に帰る。今日は○○ホテルに泊まってる」
「洗濯物の山と一緒にw」
「そうそう。呪うべき洗濯物の山に囲まれて一人さびしく寝るだけですよ」

多分、ホテルに来るか?という誘いだったのだと思う。
互いに少し黙り込む。
ユリネさんも直接的な言葉は言い出さない。
俺も、当時はシシマルがいたので行きたいとは言い出せなかった。
会場近くでユリネさんは部下に声をかけられて、俺との話はそのままで
終わってしまった。

講義の後「君で卒業した」という言葉を思い出し、心が少し揺れてしまっていた。
嘘かもしれない、ただ口をついて出ただけかもしれない。
それでも、その言葉に俺への思いというものがあったのかと知らされた。
ただのセックスフレンドだと思っていたのはもしかしたら俺だけ
だったのかもしれない。
当時、忙しい時間の合間を縫って週2回も来ていたのは、
もしかしたら彼は彼なりに真剣だったのだろうか?
黙って別れを受け入れたからサバサバとした別れと思い込んでいた
俺はお子様だったのではなかろうか?
そんなことを思ったりしたけれど、結局彼のホテルに行くことしなかった。

その日京都は大雪だった。
研修も終わり、家に帰り、マフラーを巻いて外に出てみたけれど、
灰色の雪が怒涛に降り注ぎ、道は白く高く行く手を阻んでいるように見えた。
そんな雪のせいにして、出かけるのを辞めた。
そして、また、ユリネさんを思い出にした。
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プロフィール

(yore)2BOW

Author:(yore)2BOW
桜田淳子「20歳になれば」の替え歌で

まってください 44歳になるまで
まだ言わないで さよならだけは
まってください 読者の興味
はなれたことは わかってるけど

更新するわ なるべくするわ
43歳のうちに 43歳のうちに

44歳になれば 体重減らす
ユニクロで服が買えるぐらいに
44歳になれば 彼氏をつくる
無理じゃないよね?多分多分w

ラララララララ・・・

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