ゲイが市井で暮らすのに、嘘はいくつ必要ですか？ もうすぐ。

会話が苦手である。
どちらかというと人見知りが激しいほうなのだが、
歳をとるごとに直るかと、克服できるかと
思いきや、年々ひどくなってきている。
びっくりである。
さっきレンタルで借りてきたアメトークで人見知り芸人の
回を見ていたんだけど、トークが面白いとかよりも
「そうそう」と膝を打ちつつ、首を縦に振ることしかできなかった。

今の仕事が24時間みっちり職場にこもりっきりな職種なのだが
よくもまぁそんなに会話したがるねって思うぐらい、
ひたすら話しかけてくる上司＆同僚の多いことに驚く。
いや控えめに言って、驚愕する。
24時間同じ部屋でずっと一緒に仕事するんだけど、
仕事の話以外そんなに話すことがない。
っていうかしたくないのだ。会話がひたすら面倒くさい。
そんなこともいってられないからそれなりに付き合うし、
時々気のきいた（と個人的には思うんだけど）冗談をかえしたりもする。
でも、かなり無理してる。
よれ某、齢42歳。
気がついたらホンマに人と話すことが思い浮かばない男になっている。

基本休憩時間とかはひとりで本を読んでいたい。
でも、そんなのお構いなしに話しかけてくる同僚がいる。
俺の感覚だと本を読んでいる人に話しかけるなんて言語道断っていうか、
不可侵領域だと思うんだけど、そんな垣根が見えない人っているみたいなのだ。

勤務中はそれなりに会話するんだけど、休憩中ぐらいはひとりに
してほしいと切実に願う。本当に。そうじゃないと俺壊れちゃうから。
でも、そういうの判ってもらえない。
本を読んでる＝さびしそうとか、かまってあげなきゃとか思っちゃうのかも
しれない。だからそれなりに本読ませてね。ひとりにしてねって
かなり判りやすい空気をだしてみるんだけど。

「なに読んでるの？本読みながらご飯食べると消化にわるいねんで」
「・・・はぁ」
「な　つ　へ　の　と　び　ら。『夏への扉』読んでるの？おもしろい？」
「・・・まぁ」
「あああ、明日の休みなにしよ。どっかいくにしても金ないからなぁ」
「・・・はぁ」
「家の雨戸のしまりがわるいんねんか。油ささなあかんなぁ。よれ某君とこ雨戸大丈夫？」
「うち雨戸ないですから」
「ぽぽぽぽ～～んのＣＭのロングバージョンもう見なくなったな。おはようさぎ！」
「あまりテレビ見ないので」
「ぽぽぽぽ～ん知らん？」
「あまり」
「Youtubeで流れてるで」
「じゃ今度見てみますね」
「ぽぽぽぽ～～ん」
「・・・」
「明日雨降るんかな」
「どうでしょうね」
「よれ某君、服とかどこで買ってるの？」

うううううううううううぎゃぎゃぎゃがやぎゃ７あ７や７あ！！！

お願いだから口閉じてくれ！
話しかけないで。
せめてこの1時間だけ一人にさせて。
お願いだから。

他の同僚に聞いてみると、休憩中に話しかけられてもそんなに気にならないらしい。
「よくしゃべるやつやな」ぐらいでそんなに苦痛にも感じてないらしい。
俺だけなのか。

「俺無口なんかもしれん。人見知りなんかも。最近気づいたけど」
とシシマルとかに言っても「お前は決して無口ではないでしょｗ」と
あまり取り合ってくれない。

でも、あんなにそっけないのっていうか、失礼な態度なのに、
それをものともせずに話しかけてくるのってすごいなぁ。
俺には決して真似できない。
まぁ、自分から話かけることじたいあまりしないんだけどね。

仕事が終わると、必ずトイレにいって時間をつぶす。
その人と同じ電車で帰らないように時間調整をするためだ。
できれば一息つきたい。一人で帰りたい。

トイレで１０分。
こそっとでるんだけど、ちゃんとしっかりロッッカールームで
その人は待っている。

「よれ某君、待ってたで。お腹いたかったん？一緒に帰ろうか」

ふぅぅ。
悪い人じゃないんだろうけど。
やっぱ苦手だわ。