ゲイが市井で暮らすのに、嘘はいくつ必要ですか？ もうすぐ。

ジムに通うことになった。
事務でもRGM-79でもない。
あのフィットネスジムだ。

ことの発端は、会社のオーナー（70歳）に
誘われて、脅されて、懇願されて一緒に行かざるを得なくなったのだ。
オーナーは医者に適度に運動をするようにと言われ
ひとりで通い始めたのだが、
ひとりでフィットネスバイクを漕いでると
孤独で孤独で泣きそうになるらしい。
連れが欲しいが誰も相手にしてくれないので、
ヒマそうなボンクラでも、このさいよしとしようと
俺を誘ってやろうということだったらしい。

誘ってくれるから、てっきりおごってくれるのかと
おもってたんだけど、ちゃっかりきっかり自腹だった。
お金もってるひとはやっぱりこういうところでも
違うのだなぁ。

運動なんてここ20年ほどやってないから、体が
なまりきってるし、筋肉なんて何もないような
体つきだし、そもそもみっともない体型で恥ずかしいなぁと
思いながらシブシブ付き合ったのだ。

最初にトレーナーさんについてもらって
今のからだの状態を測定してもらった。

驚いたんだけど、測定って体重や体脂肪率とか
そんなんだけじゃなく、
筋肉量や骨の量を上半身下半身右半身左半身別に
測定できてしまうってことだ。
すげぇな。
予想通りBMI数値は桁違いで、脂肪の量もオーバー気味。
意外だったのは筋肉量が平均以上あったことだ。
「スポーツを何もせずにこの数値ってことは、筋肉がつきやすい体質
なので、頑張れば脂肪を減らせて筋肉に変えていくことも
十分可能ですね」とおそらく誰にでも言ってるであろう
セリフでトレーナー（残念ながら女）さんは励ましてくれる。
あと気になるのが左と右の筋肉量が極端に違うということだった。
右がやたらと数値が高く、左が少ない。
「利き腕ってのは誰にもであるので、ある程度は差が出るんですが
ここまで数値の開きがあるのは珍しいですねぇ」

利き腕でオナニーのしすぎなのかも。

「意識して左も使うようにしてください」

意識してこれからは左手でオナニーしよう。


「某さんは、どうゆうふうになりたいんですか？」
「ガチムチに」
「ガチムチ？OK。ガチムチになりましょう」

ガチムチって単語が通じたのが驚きだった。
冗談だったのに。

運動経験がここ最近まるでないってこともあり、最初は
ゆるいメニューを組んでもらい、マシンの使い方、
ウオーミングアップ、ストレッチのやり方などを
丁寧に教えてもらった。

「俺こんなとこにいていいんだろうか？場違いじゃないんだろうか」
なんて最初はずっと思ってたんだけど、
体動かしていくうちに、なんともいい感じの高揚感が
訪れてくるのを感じる。
稀に訪れる「ハイ」になる感触だ。

筋力トレーニングを２セットおこない、
最後に有酸素運動が効果的だと勧められ、
ランニングマシンで走ることにする。
（歩いてるに限りなく近かったけど）
驚く程の汗が滝のようにながれ、
最初はなんだかなぁと思ってたんだけど、
１０分２０分と走り続けていくうちに、
あと1分、あと1キロとどんどん自分を追い込んでいく、
達成していく喜びを初めて感じた。
少しレベルをあげたりなんやかんやと楽しんでいるうちに、
気がつけば４０分も走って（歩いてw）いた。

いやぁ、これ楽しいw
痩せるとか、ガチムチになるとか、そんなんどうでもよくて
（よくはないんだけど）
よれ某のセリフとは自分でも思えないんだけど
「汗かくこと」がすこぶる楽しいのだ。

友人に｢休日にジム通いってwそんなゲイちっくなこと
よれ某に似合わないw」って苦笑されたけど、
自分でもそう思うけど、なんか違うベクトルで
楽しくて通いたくなってしまうのだ。

ひとりで外走ってたらタダじゃんとか思わんわけでも
ないんだけど、雰囲気も必要なのだよ。